

結局終電は逃してしまった……自業自得とはこのことだ。
それでも不安な気持ちがないのは、古鮫さんが隣にいるからかもしれない。
「この時間だしな……タクシー止まるといいなー」
そう言いながらタクシーを止めてくれた、古鮫さんはまだ終電があるから電車で帰るらしい。
私のために先輩にここまで面倒をかけてしまって、申し訳ない気持ちと感謝の気持ちが混ざって不思議な感覚だ。
「ちゃんと部屋に帰るんだぞ」
「なにかあったら連絡しろ、ポッケに電話番号入れといた」
お店にいたときはお酒のせいで赤くなっていた顔が、いつの間にかいつもの仕事中と同じ頼れる先輩の顔になっていた。
ありがとうございますとあいさつをして、私は上着のポッケにそっと手を入れた。












